別居は夫から提案された

夫は千晶さんの不調を子どもの病気のことがあったからだとずっと思っていたという。義母との不仲に気づいたのは、千晶さんが言葉を発すると同時に泣いてしまうほどに追い込まれた後だった。

「その時期のことはあまりよく覚えていないんです。ただ、自分の地元に帰りたいと、夫の前で泣いてしまったことだけを覚えています。その日からしばらくして、私の母親から電話がかかってきて、私は実家に帰ることになりました。夫が私の母に電話して、様子を伝えてくれていたんです。

最初は実家に戻る期間は決めていないものの、心身ともに落ち着くまでの予定でした。でも、私たち夫婦はそのまま別居することになりました」

車で3時間弱かけて、夫は定期的に千晶さんの様子を実家まで見に来てくれた。理由をつけて夫の地元に戻ることを拒む姿を見て、夫のほうから別居を提案されたという。

「夫は『別れたくない』と言ってくれて、その言葉と同時に『両親のお店を捨てられない』と言いました。なので、私たちはお互いの思いを尊重して、離婚を前提としない別居生活に入ったんです。別居していた期間は、私の両親にも迷惑をかけたし、夫も義両親を説得するのに大変だったと思います。

でも、私たち夫婦は別居期間を乗り切り、2021年より私の地元で同居を再開しました。義母に会ったのは、義父が亡くなったときの葬儀と、義母が亡くなったときだけでした」

義両親のお店は、義両親が亡くなったこと、そしてコロナ禍の不況もあって2021年に閉店したという。そこから夫は自身が大学、就職した地域である千晶さんの地元で暮らすことを選択し、現在も家族3人で暮らしているという。

冒頭のアンケートにもあったように、別居後に同居を再開する夫婦は多い。復縁するときには、別居に至った原因を夫婦で振り返り、本音で話し合うことが重要になる。千晶さん夫婦は別居するときから本音を話し合うことができていた。だからこそ今も仲良く一緒に暮らすことができているのだろう。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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