取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

日本では婚姻届を役所に提出し、受理されると夫婦と認められる。夫婦となり、パートナーのことを家族だと受け入れられるものの、パートナーの両親やきょうだい、連れ子などを含め、「みんなと家族になった」とすんなり受け入れられる人もいれば、違和感を持つ人もいるという。また、ずっと家族として生活していたものの、分かり合えない関係のまま離れてしまった人もいる。家族について戸惑った経験がある人たちに、家族だと改めて感じられたきっかけを聞いた。

株式会社うるるでは、家庭内における夫婦・パートナー間のコミュニケーションの実態について調査(実施日:2025年5月31日~6月5日、有効回答数:全国の18歳未満の子どもを持つ20代〜50代の女性334人、インターネット調査)を実施。調査にて、「パートナーとの日常会話の長さは1日あたりどのくらいですか?」の問いに対して、最も高かったのは「1時間以上」で40%、次いで「30~60分未満」が30%となった。その一方で、「10分~30分未満」「10分未満」「ほとんど会話しない」と回答した人も計30%となり、会話の機会自体が少ない家庭もあることがわかった。次に、「パートナーとの会話が少なくなる理由(複数回答)」について聞いたところ、最も多かったのは「仕事や家事で忙しく、時間がない」との回答が64%となり、「疲れていて話す余裕がない」(43%)が2番目に多い回答となっていた。

今回お話を伺った絹子さん(仮名・44歳)は学生時代から働くことが好きで、妊娠中に体調不良から仕事ができなくなり、休むこと自体にストレスを感じるようになっていた。【~その1~はこちら

子育てのパートナーは夫ではなく母だった

出産してほどなく、絹子さんは実家から夫が暮らす家に戻る。しかし、子育てに非協力的な夫にイライラすることばかりで、しばしばメンタル不調を起こすことが多かった。卒乳できた後にすぐに保育園に預けたことで、やっとメンタルが安定したという。

「子どもは可愛かったけれど、子どもとだけしか関わらない生活は窮屈で、子育てのことについては私も初めてなのに何でも頼ってくる夫にイライラしてしまっていました。体はしんどいのに眠れなくなり、急に泣き出してしまうこともありました。その度に私は実家に避難するように帰省していたんです。それが落ち着いたのは、仕事を始めたから。前の職場には夫が働いていたのでそこには復帰せず、別の会社で働くことにしました。新しい職場は何もかもが新鮮で、それがいい刺激になり、メンタルも安定していきました」

仕事に夢中になるにつれて、子育てに機能しない夫を見限り、母親に頼むことが増えたという。母親の協力が必要だった期間に何度も離婚の危機を迎え、夫婦で話し合うように。そんな話し合いを続ける中で家事は完全に分担制になっていった。

「子どもが熱を出して早くお迎えに行かなければいけないときも、夫は『仕事だから』と仕事のことを理由に断るんです。私も仕事があるのに、子どものことは妻がやることだと思っているみたいでした。仕方なく自分で迎えに行くのですが、その度に私は子連れで実家に帰省するようになっていました。そのまま夫と顔を合わせると怒りが静まらないと思ったからです。メンタル不調のときから、実家が私の逃げ場になっていたんですよね。そんな何度も実家に子連れで帰省する私を見て、母親が子育てを手伝ってくれるようになりました。

私は母親が手伝ってくれるなら、夫なんてもういらないと思うようになったんです。私から離婚をしたいと言う度に、夫は気をつけるからやり直したいと言ってくれて、なんとか夫婦生活を維持している状況でした」

【娘のため「僕が仕事を辞める」次ページに続きます】

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